2018年07月04日

獣医師BLOG~今年の夏は酷暑に!お散歩前の5秒ルール&熱中症対策~

こんにちは。
獣医師の清水です。

あっという間に梅雨が明け、夏本番ですね!
気象庁による5月25日現在の予想では、『今年の夏は平年より気温は高く、酷暑となる見込み』としています。
万全な熱中症対策と体調管理が必要になりそうですね。
暑さが苦手な私は忍耐の夏になりそうです 😥

さて今回は、【今年の夏は酷暑に!お散歩前の5秒ルール&熱中症対策】をお伝えします。

お散歩前の5秒ルール

真夏のアスファルトは50~60℃にもなります。
犬は地表から近い場所にいますので、私達人間よりも暑さを直接的に感じることになります。
また、この熱いアスファルトの上を歩くと犬の肉球は火傷をしてしまいます。
最近は、気温の上昇も以前とは比較にならないので、夕方 陽が落ちてからもアスファルトの温度はなかなか下がりません。
そこで、外に出たら一番熱そうなアスファルトに5秒間、自分の手の甲をつけてみてください!
5秒間しっかりと地面に手をつけることが出来たら、お散歩OKです。
つけられない場合は、気温が低い時間帯にするか、犬用の靴を履かせてあげてください。
夏のお散歩は、朝早い時間(5時から7時くらいまで)や、日が沈んでしばらく経ってからがおすすめです!

熱中症とは?

高温環境下で体温の調節機能が破綻するなど、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れて発症する障害の総称です。

犬はヒトに比べて体が地表に近いため、地面の照り返しを受けやすく、体内に熱を溜めてしまいます。
暑くても犬は汗をかかず、舌を出して息を吐く『パンティング』(あえぎ)と呼ばれる呼吸方法で、熱を逃がし、体温を調節しています。
しかし、外気温が高いと体内外の熱交換がうまくできないため、体温の調節がうまくいかず、さらに激しくパンティングを行います。
パンティングは呼吸に関与する筋肉が繰り返す激しい運動のため、体内に熱がこもって熱中症になってしまうことがあり、死に至ることもあります。

特に被毛が厚い犬種や鼻が短い犬種、肥満犬、老齢犬は要注意です。
老齢犬で、心疾患から呼吸器症状を患っている子は、状態の悪化がみられることがあります。
なかでも雨の降った後の蒸し暑い日や、気温が低くても湿度の高い日には十分に注意して散歩を行う必要があります。
体温の上昇を防ぐためには、こまめな水分補給と休憩が必要です。

症状は?

41℃以上の高体温、あえぎ呼吸、興奮、呼吸困難、意識混濁、出血性の下痢や嘔吐、無尿、けいれんなど。

救急処置は?

まず涼しい場所に移動し、休ませましょう。
(病院の犬舎のエアコン設定は、24℃くらいです)
そして、体温を下げるために、首や脇の下・内股などの太い血管が走る場所に、冷やしたペットボトルやタオル・保冷剤などを当てます。
決して体に水をかけて、体温を下げることはしないでください。
うまく回復すれば、あえぎ呼吸などの症状が落ち着いてきます。
救急処置後に異常を感じた場合には、早めに受診しましょう。

まとめ

我が家のはなは、とても小さいヨークシャーテリアです。
ヨークシャーテリアはイギリス原産の犬種ですが、温かい被毛の構造にはなっていないので、はなは寒がりです。
エアコンをいれて私たちには快適な温度(27℃設定)にしていても、自らブランケットにくるまったり、 エアコンの冷気が来ない部屋に行ってしまったりします。

熱中症の予防には涼しい部屋が基本になりますが、
体の小さい動物たちには冷え過ぎになってしまう場合もありますね。
逆に大型犬や寒い地方原産の犬種では24℃設定でも暑いかもしれません。
動物たちがその時々で快適に過ごせるように、調節してあげましょう。

参考文献:犬と猫の老齢介護エキスパートブック 若山正之著 interzoo

獣医師 清水

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